不動産用語集
あ行
空き家(残置物あり)
建物は空き家ですが、内部に所有者などが残していった物があります。買受人は、残置物を勝手に処分することはできないので、原則として執行官に費用を予納した上で明渡執行を求める必要があります。なお、空き家であるとの認定は、執行官が行った現況調査時点の資料に基づき判断したものであって、現時点において空き家であることを示すものではありません。
頭金
購入代金を分割して支払うときに手付金として最初に支払う代金。通常、商品取り置きの際に支払われる。頭金は、以後支払う分割代金よりも多額であることが多い。 住宅ローンを利用する場合には、購入代金を金融機関から借り入れて販売者に一括して支払ったうえで、借入金を金融機関に分割返済することが一般的です。この場合に、通常、購入金額のすべてを住宅ローンの対象とすることをしないで、代金の一部(20%程度)は自己資金で支払うことが一般的です。この住宅購入時に住宅ローンを充てることなく自己資金で支払う代金が「頭金」である。
雨どい
屋根面を流れる雨水を地上や下水に導くための溝形や管状の部材のこと。
いわば雨の道で、横方向に流す軒樋(のきどい)、谷樋(たにどい)、縦方向に導くための竪樋(たてどい)などがある。
屋根先より10m程度出るため、建築基準法では注意が必要となります。
RC
「Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
「鉄筋コンクリート構造」という意味である。
鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。
鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。
この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということである。
費用が高くなるため、住宅にはあまり使われないが、耐火性能が高いため都心では見受けられます。
位置指定道路
特定行政庁から道路位置指定を受けた私道を、「位置指定道路」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。
位置指定道路に面する土地では、建築物を建築することができる。
一時金
毎月支給される給与以外の、一時的に支払われる給与をいう。賞与、ボーナス、期末手当等がこれに該当する。
一時金の性格については、経営上の業績等に応じて支給される特別の手当て、または、毎月の給与を補填するべく支給される生活給とする2つの考え方がある。
一般媒介契約
媒介契約の一つの類型。
依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。
業者側にも報告義務はない。
なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。
1)明示型の一般媒介契約
明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。
2)非明示型の一般媒介契約
非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。
移転登記
所有権移転登記のこと。
所有権移転登記とは、不動産の売買取引や相続等で、不動産の所有権が移転したことを公示するための登記。
印紙税
契約書、受取書、証書、通帳などを作成する際に課税される税金。国税。 印紙税は、印紙税法に定められている20種類の文書(課税文書)に対して課税される。例えば、不動産売買契約書、建築工事請負契約書、土地賃貸借契約書、代金領収書などは課税文書だが、建物賃貸借契約書や不動産媒介契約書は課税文書ではない。 納付方法は、課税対象となる文書に収入印紙を貼り、その収入印紙に消印を押すことによって納税が完了する。この場合に、契約等において両当事者が文書を2通作成するときにはその2通についてそれぞれ印紙税を納付しなければならない。 印紙税を納めなかった場合には、印紙そのものを貼付しないときは納付すべき金額の3倍(自ら申告したときは1.1倍)、消印をしないときは消印をしない印紙と同額の「過怠税」が課税される。 印紙税額は、文書の種類および文書に記載された契約金額等に応じて定められている。 代金の授受の場合、振込にすれば不要となる。電子取引もこの考え方で進んでいる。
ウォークインクローゼット(WIC)
ウォークイン、つまり歩いて入れるクローゼット、衣類の押入のこと。衣装ダンス、衣裳戸棚を指すワードローブは家具のニュアンスが強いのに対して、ウォークインクローゼットは部屋の意味に使われることが多い。玄関にも使われる。
内法
建物の床面積を測定する際に壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを「床面積」とする考え方のこと。
不動産登記法では、分譲マンションなどの区分所有建物を登記する場合には、この内法の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記法施行令第8条)。
反対に、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん)」という。
建築基準法では、建築確認を申請する際には、建物の床面積はこの壁心の考え方で測定することとしている(建築基準法施行令2条1項3号)。
従って、分譲マンションなどの区分所有建物については、建築確認を申請する際には床面積を「壁心」で求めるが、その後に登記をする際には床面積を「内法」で求めているので注意が必要。
売建住宅
開発した宅地を分譲する際に、同時に宅地の購入者がその宅地に建設する住宅を分譲事業者に発注する方法で建てられた住宅をいう。
「建売住宅」の建築主は不動産会社であるのに対して、「売建住宅」の建築主は宅地の購入者である。建売住宅に比べて設計などの自由度は高いが、建築を請け負う業者はあらかじめ決められている他、用意された建物の設計モデルから選択して発注することが多い。建築条件付宅地分譲とも言う。
HRC
Hard Reinforced Concrete=高強度コンクリートのこと。
設計基準強度が大きいため、超高層RC、SRC造建築物が可能である。また、高強度化により柱、梁部材の断面を低減しスパンを長く取ることができるため、空間自由度が増大し、工期を短縮できるメリットがある。住宅には使われない。
SRC
「Steel Reinforced Concrete」の頭文字を取ったもの。
「鉄骨鉄筋コンクリート構造」という意味。
鉄筋コンクリートの柱の中心に、鉄骨を内蔵させた建築構造。
比較的小さい断面で、強い骨組を作ることができ、粘り強さもあるため、高層建築に多用されている。
ALC
「Autoclaved Light Weight Concrete」の頭文字を取ったもの。日本語では「軽量気泡コンクリート」と表記される。
「軽量気泡コンクリート」は、工場でセメント等に発泡剤を混ぜて、高温高圧の状態で養生したコンクリート特許をとったハウスメーカーのみ使用。その特長として軽量にもかかわらず強度があり、耐火性や遮音性にも優れており、都心の防火地域に強い。
おとり広告
実際には取引できない物件の広告のことで、客寄せのためにする。
架空の物件、売却済みの物件、売主に取引の意思がない物件などの広告がこれに当たる。そのような広告を出すことは宅地建物取引業法に違反し、また、不動産公正取引協議会の不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)で禁止されている。
オンライン申請(不動産登記における~)
不動産登記を、インターネットを利用したオンラインで申請することをいう。
法律上の名称は「電子申請」。不動産登記法の改正(2005年3月施行)によって創設された申請方法。
従来、不動産登記は、書面(または携帯型のディスク等)でのみ申請できること(書面主義)、権利の登記の申請は当事者または代理人(司法書士)が直接登記所に出頭すること(出頭主義)とされていたが、登記申請者の負担軽減等のためオンラインによる申請が新設された。
オンライン申請では、法務省オンライン申請システムにユーザー登録をしている者(通常は司法書士)が、インターネットで法務省オンライン申請システムへ接続し、申請情報を送信する。この際セキュリティを確保するために、電子署名・電子認証の仕組みを利用し、なりすましやデータ改ざんを防止するようになっている。
近年、当事者も手続きできるようになった。
※法務省オンライン申請システムの公式ガイド http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/
オーナーチェンジ
賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売買すること。
購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションなどでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。
オープンハウス
不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。
新築マンションでは、専用のブースを別に作ることもある。購入者の協力を得て、入居前に行うこともある。
オール電化システム
住宅内の熱源、例えば冷暖房、給湯、調理などに必要な熱をすべて電気で賄うシステムをいう。
燃料の燃焼による有害物質や水蒸気が発生しないこと、火事の恐れが比較的小さいことなどが特徴とされる。
オール電化専用の料金システムがある。
か行
買受可能価額
買受可能価額とは、売却基準価額からその20パーセントに相当する額を控除した価額のことです。買受けの申出の額は、この価額以上でなければなりません。
買受適格証明書
売却物件が農地である場合、その所有権を移転するには農業委員会又は都道府県知事の許可が必要であるため、買受申出ができる者を、上記の機関が交付した「買受適格証明書」を有する者に限っています。裁判所で入札するためには、あらかじめ買受適格証明書を取得しておかなければなりません。
開札
入札期間が終わると、あらかじめ公告されていた開札期日に開札が行われます。開札は、裁判所内の売却場で、執行官が入札書の入った封筒を開封して入札書を読み上げます。入札した人のうち最も高い価格を付けた人が「最高価買受申出人」と定められます。その人の提供した保証は、そのまま裁判所が預かりますが、その他の入札人には、保証を返還します。
開発許可
宅地造成等(開発行為)を行なう際に必要とされる許可のこと。都市計画法に基づく制度である。
都市計画法では、無秩序な開発を規制するために、開発許可の制度を設けている。一定規模以上の開発行為を行なうためには、知事(指定都市等では市長)から開発許可を受ける必要がある。
開発行為
開発許可の対象は「開発行為」で、開発行為とは「建築物の建築または特定工作物の建設のために土地の区画形質を変更すること」。
確認済証(建築確認制度における~)
建築計画が建築基準関係規定に適合すると確認された場合に交付される書類のこと。
確認は建築工事に着手する前に受けなければならず、確認済証は確認した建築主事が交付する。
宅地建物取引業務においては、新築の工事完了前の建物の売買等について、確認済証の交付を受けた後等でなければその広告をしてはならないとされている。
なお、建築工事完成後には、建築物が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を受けなければならず、検査により適合が認められたときに交付される書類が「検査済証」である。
中古住宅では確認済証がないケースも多く、売買するには手続が煩雑になる。
家事動線
家事のための移動経路。家事は異なる作業を異なる場所で行なう場合が多いため、間取りによって動線に大きな違いが生まれる。 家事は、調理、洗濯、掃除、子供の世話などで構成されているが、家事動線を検討することによって、これらの作業を効率よく進めるための工夫が必要となる。 家事動線は短くシンプルであるほうが良いと考えられているが、家族の生活動線(居住生活のための移動経路)と家事動線との関係にも配慮しなければならない。一方通行ではなく回遊型が使いやすい。
仮登記
所有権移転登記などを行なうことが何らかの理由でできない場合に、仮に行なう登記のことを「仮登記」という。
例えば、A社がB氏に融資をした場合に「将来返済がされないときは、B氏所有の土地をA社に引き渡す」という契約を行なったとする。このとき、将来債務が返済されるかどうかは不確定であるので、所有権移転登記を行なうことは当然できない。そこで、A社はB氏所有の土地に対して仮登記を付けておく。
具体的には「所有権移転請求権仮登記、原因:売買予約、権利者:A社」という仮登記を付けておくと、返済されない場合は他に優先して本登記に移すことができる。
カーテン(レール)ボックス
カーテンレールをカバーするための箱状のもの。天井に埋め込んだり、窓枠上部に取り付けたりする。これに対して、装飾レールを使う場合は逆に邪魔になるケースがあるため、計画する場合考慮が必要。
合筆登記
数筆の土地を合わせて、一筆の土地にするという登記のこと。
合筆登記がされた場合、従来の数筆の土地の登記記録は閉鎖され、閉鎖登記簿へ移行する。
なお合筆登記をするには、地目が違う土地同士の合筆はできない。
また、所有権の登記(所有権の保存の登記または所有権移転登記)がある土地と、所有権の登記がない土地との合筆登記もできない。
元金均等返済
借入元金を毎期均等に返済する方法。毎期の支払い金額は、返済する元金に借入金残高に係る利息が加わることから、支払期が早いほど多く、遅くなるに従って少なくなる。
支払わなければならない利息総額は、元金均等返済のほうが元利均等返済よりも小さくなる。
金利の小さい融資でよく使われる。
元利均等返済
借入金を毎返済期に同額で返済する方法。住宅ローンの返済において広く使われている方法である。
完済するまでの各返済期ごとに、返済する元金と支払う利息の合計額が一定となるように、元金の返済額を漸増するよう設定する。
元金均等返済に比べて、完済までに支払う利息の総額が多くなる。金利の高い融資では早い支払期の負担が大きくなることを避けるため、採用されることが多い。
期間入札
裁判所書記官が定めた期間内に入札を受け付け、後日開札を行って落札者を決める入札方法。
期間入札の公告
期間入札で売却される不動産については、入札期間が始まる日の2週間前までに裁判所の掲示場か庁舎の中の掲示板に、公告が掲示されます。公告には、売却される不動産、入札期間、開札期日が開かれる日時・場所、不動産の売却基準価額、買受可能価額、買受けの申出に際して提供しなければならない保証の額や提供方法など、売却についての重要な事項が記載されています。買受けを希望される方は、まずこの公告を見て、自分の買いたいと思う不動産を選択します。
基準値価格
地価公示と同趣旨で、地価公示を地域的、時期的に補完するものとして毎年1回(7月1日が基準日)、各都道府県知事による地価調査が実施されており、この調査地点(基準地)の価格を基準地価格といいます。評価書においては、「地価調査価格」「基準価格」等の表現で価格資料として掲げています。
急傾斜地崩壊危険区域
崩壊する恐れのある急傾斜地(傾斜度が30度以上の土地)で、崩壊により相当数の住居、建物に危害が生ずる恐れのあるもの、およびこれに隣接する土地として都道府県知事が指定する区域をいう。
指定は、「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」に基づいて行なわれる。
急傾斜地崩壊危険区域内においては、
1.水の放流や停滞行為など水の浸透を助長する行為
2.ため池や用水路などの施設、または工作物の設置、または改造
3.のり切、切土、掘さく、または盛土
4.立木竹の伐採などの行為
について都道府県知事の許可が必要であり、知事は許可に当たって、急傾斜地の崩壊を防止するために必要な条件を付すことができるとされている。
共益費(管理費と同意)
賃貸住宅の入居者や事務所ビルのテナントが、建物の賃料とは別に負担する費用をいう。
建物全体の清掃や補修、警備等の費用、建物の共用部分に関する付加使用料など、入居者やテナントが分別して負担することが難しい費用が対象となる。専有面積当たりで算出し、月払いするのが一般的。
なお、法律上の用語としても「共益費」が使われるが、これは同一の債務者に対する各債権者に共通の利益のために要した費用のことである。
例えば、ある債権者が債務者の財産を保存すればそれは他の債権者に利益にもなるので、そのための費用は共益費として、他の債務者に優先して弁済を受けることができるとされる。建物の賃借人が負担する共益費は、これとはまったく別のものであるから、注意を要する。
銀行ローンを利用する場合(法82条2項の申出)
買受け人が買受不動産を担保に抵当権を設定し、金融機関等から残代金相当額の融資を受ける(銀行ローンを利用する)場合は、代金納付前に執行裁判所に対しその旨の申出(民事執行法82条2項の申出書の提)をしなければなりません。申出に際しては、金融機関等との抵当権設定の契約書(写し)及びその金融機関等と連名で登記の申請の代理を業とすることができる者(司法書士又は弁護士)を指定した「指定書」等が必要となります。銀行ローン利用の申出は、代金納付期限の1週間(遅くとも代金納付期限の3日前)までに行います。
形式的競売
留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売の総称です。これらの手続については、担保権の実行としての競売の例によるとされており、形式的競売の根拠となる民法等実体法規定の趣旨になじまない場合を除き、できるだけ担保権の実行としての競売の手続と同じ取扱いをします。
競売市場修正
競売手続に必然的に随伴する減価要因(売主の協力が得られないことが常態であること、買受希望者は内覧制度によるほか物件の内部の確認が直接できないこと、引渡しを受けるためには法定の手続をとらなければならない場合があること等)を売却基準価額に反映させる目的で、一般の不動産市場における売却可能な価格を算出した後(市場性修正を施した後)に行う価格修正のことです。
競売申立ての取下げ
申立ての取下げとは、申立債権者がその申立てを撤回する行為です。開始決定がされた後でも、売却が実施されて売却代金が納付されるまでは、いつでも申立てを取り下げることができます。ただし、売却が実施されて、執行官による最高価買受申出人の決定がされた後の取下げについては、原則として最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を必要とします。したがって、確実に取り下げるためには、申立債権者は、開札期日の前日までに執行裁判所に対し取下書を提出する必要があります。買受人が代金を納付した後は、申立ての取下げはできません。申立てを取り下げるためには、事件番号、当事者、目的不動産を記載し、申立てを取り下げる旨を明言した書面(取下書)を執行裁判所受付窓口に提出しなければなりません。既に入札期間が開始されているときは、提出時にその旨をお知らせください。取下書は、裁判所提出用正本に加え、債務者・所有者の数分の副本を提出してください。取下書には、その真正を担保するため申立時に使用した印鑑を押印してください。印鑑が異なる場合は、印鑑証明書を添付する必要があります。
建築確認
一定の建築物を建築(増改築を含む)しようとするときに、工事の着手前に、建築計画が法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備および用途に関する基本の基準)に適合している旨の確認を受けなければならないとする制度、または確認行為をいう。
確認を申請する義務があるのは建築主で、確認を行なうのは建築主事等である。
建築主は、建築確認を受けた場合には確認済証の交付を受ける義務があり、工事を完了したときには検査を受ける必要がある。基本的に工事の中間検査を受けるなどの義務を負う。また、建築基準に違反した建築物については、建築主、建築工事の請負人等に対して、工事施工の停止や違反を是正するための措置を命じることができる。ただし、特別な場合を除いて、以前の基準で建てられ、現在の基準に違反の建築物(既存不適格建築物)については、増改築建替をしない限りはそのまま使用できる。
建築確認制度において重要なのは、建築確認を受けなければならない建築物の建築工事では、その設計は建築士が当たらなければならず、また建築士である工事監理者を置かなければならないとされていることである。この条件を満たさない建築確認申請は受理されない。つまり、建築基準を確保する仕組みは、建築確認制度と建築士制度とが一体となって初めて実効あるものとなる。
なお、建築基準は、都市計画区域および準都市計画区域内の建築物に対してはより厳しい基準が適用され、自治体ごとに条例が付け加えられている。建物の敷地場所、規模、構造、用途等に応じて詳細に定められているため、その内容については注意深く確認する必要がある。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。 遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
建ぺい率
建築の一番大きな投影面積を敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。
建築する建物の建ぺい率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
権利金
土地や建物の賃借権を設定したり譲渡したりするときに、賃借人が地主・家主に支払う金銭をいう。
賃料とは別に授受され、敷金と異なって契約が終了しても返還されることはない。その授受は、都市部で広く見られる社会的な慣行である。
その法的な性格は、
1.所有権類似の法的保護を受ける借地権の対価、2.賃料の一部の一括前払い、3.賃借権の譲渡・転貸に対する事前の承認料
などといわれ、契約の内容で判断しなければならない。
なお、借地権の取引においては、通常、権利金に相当する額が対価となっていて、その額は地価の7割程度の水準である。また、貸主が受け取る権利金は、課税上、不動産譲渡益と同様に取り扱われている。
現況地目
登記簿上とは別に、現実の地目が記載されています。
現況調査
執行官は、執行裁判所の現況調査命令によって、不動産の形状、占有状況、占有者の権原等を調査し、現況調査報告書を作成し、執行裁判所に提出します。
現況調査報告書
執行官が、実際に競売物件を見た上で、その物件に関する権利関係や占有状況、形状などについて調査した内容を記載した書類です。現況調査報告書には、土地の現況地目、建物の種類・構造等不動産の現在の状況のほか、不動産を占有している者の氏名やその者が占有する権原を有しているかどうかなどが記載されており、不動産の写真等が添付されています。
現状有姿(現況有姿)
現在あるがままの状態を意味。 山林や原野などを造成工事をしないで販売することを「現況有姿分譲」といい、市街化調整区域の別荘地などの分譲でよく行なわれる。通常は、電気、ガス、水道などの施設が整備されていないために、そのままでは生活できない。分譲広告の際には、現況有姿分譲地であってそのままでは生活する施設がない旨表示しなければならない。 また、売主の瑕疵担保責任を免れるために、売買契約中に「現況有姿で引渡す」旨記載して取引することがあるが(これを「現況有姿売買」という)、引渡しまでの間に目的物に変化があったときなどまで責任を免れることができるかどうかについては、消極的(ただちには免れない)な意見が強い。
公示価格
地価公示法にもとづいて土地鑑定委員会が公表する土地の価格をいう。
適正な地価の形成のため、全国の都市計画区域内等に設定された標準地(平成19年地価公示では3万地点)について、毎年1月1日時点のその正常価格を複数の不動産鑑定士が鑑定し、土地鑑定委員会で審査して決定した価格。同年3月下旬に公表される。更地の単位面積当たりの価格として示される。
公共事業のための用地買収価格は、この価格を規準に決めなければならないとされているほか、民間の土地取引においてもこれを指標とするよう努めるべきとされている。
なお、各都道府県も、毎年7月1日時点でほぼ同様の調査を実施し、「都道府県基準地標準価格」として公表している。
◆関連サイト:国土交通省「地価公示/都道府県地価調査」
固定金利型
住宅ローンなどにおいて、返済終了時まで返済利率が変わらない方式をいう。これに対して、市況等に応じて返済利率が変化する方式を「変動金利型」という。 固定金利型の借入れにおいては、借入金完済までの資金計画が確定し、金利が高くなるリスクを負担する必要がない一方、変動金利型よりも利率が高めである。また、市場金利が大幅に低下した場合には、借り換えなどによって利息負担を軽減できるが、事務手数料等を請求される場合が多い。
さ行
最高価買受申出人(買受申出人)
最高価買受申出人とは、期間入札の開札期日において、適法な入札をした者の中で最も高額な入札金額の申出をし、執行官から最高価買受申出人と定められた者のことです。また、買受申出人とは、一定期間買受可能価額以上による定額販売方式を実施する特別売却において、売却実施期間中に最初に適法な買受けの申出をし、執行官から買受申出人と定められた者のことです。
三点セット
(1)土地の現況地目、建物の種類・構造など不動産の現在の状況のほか、不動産を占有している者の氏名やその者が占有する権原を有しているかどうかなどが記載され、不動産の写真などが添付された「現況調査報告書」、
(2)競売物件の周辺の環境や評価額が記載され、不動産の図面などが添付された「評価書」、
(3)競売後もそのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地又は建物だけを買い受けた時に建物のために底地を使用する権利が成立するかどうかなどが記載された「物件明細書」のそれぞれの写しを1冊のファイルにしたもので、各地方裁判所に閲覧できるよう備え置いたものです。競売物件の買受けのために重要な内容が記載されていますから、その内容をよく理解して吟味する必要があります。
在来工法
木造建築物の工法の一つ。
「在来工法」とは、「伝統工法」を母胎としながら、第二次大戦後の技術革新で新たに生まれた木造建築物の工法である。
この「在来工法」は、「木造軸組工法」「在来軸組工法」「在来木造」「木造軸組」などのさまざまな呼び方がされるが、その内容は基本的に同じである。
「在来工法」の特徴としては次のことが挙げられる。
鉄筋コンクリート製の「ベタ基礎」「布基礎」を採用し、土台と布基礎をアンカーボルトで緊結する
筋かいを入れたり、壁材に構造用合板を採用する等により、壁に強度を与える
その他、土台、柱、梁などの構造材の接合部(仕口)に多様な金物を用いて、軸組全体を補強する
これらの工夫により、構造的に強い木造建築が初めて可能となった。
ちなみに建築基準法では、木造建築物についてさまざまなルールを設けているが、これらのルールの前提として想定されているのはこの「在来工法」である。
敷金
建物の賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。
1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い
将来契約が終了した場合には、上記1.や2.の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。
月々の支払いに対して敷金からあてるよう依頼することはできない。
シックハウス症候群
住宅に起因する、倦怠感、めまい、頭痛、湿疹、のどの痛み、呼吸器疾患などの症状を総称していう。 汚染された住宅内の空気を吸引することによって発症する場合が多いとされ、建材や家具に含まれる有機溶剤や防腐剤、それらに類する揮発性有機化合物(VOC、Volatile Organic Compounds)が汚染源とされるほか、カビや微生物による空気汚染も原因となるといわれている。 その対策として、住宅性能表示制度における空気環境として建材類のホルムアルデヒド濃度をランク表示することとされているほか、建築基準において、居室を有する建築物については、居室内において化学物質の発散による衛生上の支障がないように建築材料、および換気設備についての一定の技術的基準に適合すべきとされている。ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建築材料を使用しない場合であっても、家具からの発散の恐れがあるため、原則として、常時換気が可能な構造の機械換気設備等の設置が義務付けられている。
私道
民間の個人や法人が所有している道路を「私道」という。
「私道」には、特定の個人のために築造されたものもあれば、不特定多数の人が通行するために築造されたものもある。
「私道」は一定の手続きを経ることによって「建築基準法上の道路」になることができる。
「道路位置指定」と呼ばれている。
私道負担
不動産の売買において、対象となる土地の一部が「私道の敷地」となっているとき、その私道の敷地の部分を「私道負担」と呼んでいる。 私道負担に関する事項は、重要事項として説明しなければならない。また、不動産広告では、区画面積と私道負担面積とを分けて表示しなければならないとされている。例えば、「土地面積100平方メートル、別に、私道負担面積5平方メートル」のように、わかりやすく表示する必要がある。
借地権
借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである(借地借家法第2条)。
1.建物を所有する目的で設定された地上権
2.建物を所有する目的で設定された土地賃借権
従って、資材置場にする目的で設定された土地賃借権は「借地権」ではない。
また、青空駐車場とする目的で設定された土地賃借権も「借地権」ではないことになる。
事件番号
裁判所が個々の事件を識別して、適切に処理していくために付した符号及び番号で、例えば強制執行事件であれば平成16年(ヌ)第○○号等と表示されます。裁判所ではたくさんの事件を事件番号によって管理していますので、裁判所に照会するときは必ず事件番号を告げる必要があります。
次順位買受けの申出
次順位買受けの申出とは、最高価買受申出人が売却代金を支払わなかった場合に次順位買受申出資格者が買受人となることを、改札期日において執行官に申し出ることをいいます。ただし、申出をするには、(1)最高価買受申出人に次ぐ高額の申出であること、(2)申出額が買受可能価額以上であること、(3)申出額が最高価買受申出額から買受申出保証額を控除した金額以上であることが必要となります。
住宅性能保証制度
住宅の基本的な性能を保証する仕組みをいう。
新築住宅について、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に関して性能の評価を行ない、その性能を、施工現場の検査、保険により保証する。
保証期間は、住宅の完成引渡し後10年間であり、瑕疵による不具合があった場合には修繕等の費用を負担することとなる(これに加えて、仕上げや設備などに発生した不具合について2~5年間保証することも多い)。
住宅性能保証業務を実施しているのは、住宅保証機構(株)または登録住宅性能評価機関である。
重要事項説明
宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が取引当事者に対して契約上重要な事項を説明することをいう。
また、その際に、説明の内容を記載して当事者に交付する書面を重要事項説明書という。
重要事項説明を必要とするのは、宅地建物取引業者が自ら売主として取引する場合、および不動産取引を代理・媒介する場合であり、その説明は、売買契約や賃貸借契約を締結するよりも前に行なわなければならない。また、説明に当たるのは宅地建物取引士でなければならず、さらには、説明する重要事項をすべて書面に記載し、取引当事者にその書面(重要事項説明書)を交付する必要がある。
説明を要する事項は、売買か賃貸かなどの取引内容に応じて異なるが、大きく分けて、
1.取引対象不動産の権利関係、2.取引対象不動産に係る法令上の制限、3.取引対象不動産の状態やその見込み、4.契約の条件
に関する事項とされている(法令は改正されるので最新のものを確認する必要がある)。
重要事項説明は、不動産の特性や取引の形態に起因して取引当事者に不利益が発生することを防ぐための仕組みとされ、その適正な実施が強く求められている。
セットバック
建物を後退させること。
2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に面する土地では、次の1)または2)の範囲に建物を新しく建築することができない。
1)その道路の中心線から水平距離2mの範囲
2)その道路の片側が崖地、川、線路等である場合には、その崖地等の側の道路境界線から水平距離4mの範囲
つまり、2項道路はその幅が4m未満であり、そのままでは防火等の面で十分な道の幅を確保することができないので、2項道路を含めて4mの範囲内には、建築物や塀などを造ることを禁止し、4mの空間を確保しようという趣旨。
その結果、2項道路に面する土地では、自分の土地でありながら、一定の部分には建築をすることができないこととなる。これを不動産業界ではセットバックと呼んでいる(セットバックとは英語で「後退」という意味)。
このセットバックについて次の点に注意が必要。
A)セットバックしなければならない部分には、建築物を建築できないのみでなく、門や塀や擁壁を建築することもできない。
B)セットバックしなければならない部分は、容積率や建ぺい率を算出する場合には、敷地面積から除外される。
例えば、幅2mの2項道路(片方が崖地等ではない)に面していて、道路に接する長さが10m、奥行が10mの正方形の土地があるとすると、この土地の本来の面積は100平方メートルである。セットバック部分の面積は1m×10mなので、10平方メートルである。よって、この土地の建築可能部分の面積は90平方メートルで、この土地の建ぺい率が60%とすると、この土地に建築できる建物の建築面積は、最大で90平方メートル×60%となり、54平方メートルとなる。
専属専任媒介契約
宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)のうち、専任媒介契約であって、かつ依頼者は、依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買等の契約を締結することができない旨の特約が付いた契約をいう。
つまり、依頼者は取引の相手方を自分で発見しても、媒介を依頼した宅地建物取引業者の媒介なしには契約できないことになる。
専属専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、5日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならない。
又、10日ごとに状況を報告する義務がある。
専任媒介契約
宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。 この契約の有効期間は、3月を超えることができないとされている(契約期間の更新は可能)。 専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、7日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならない。
占有権原
所有者以外の占有者がいる場合に、その占有者の占有の根拠となる権利の内容です。
占有者、占有の状況及び地上建物の表示
例えば、物件が土地と建物の場合、建物の所有者は、土地の上に建物を所有して土地を占有(物件を支配している状態をいいます。)しているので、その旨の記載がされます。上記土地以外の建物の敷地:建物が売却対象外の土地の上にも建っているかどうかを表しています。もし、売却対象外の敷地があれば、敷地に対する利用権原が問題となります。
前面道路
敷地に面した道路。
敷地が複数の道路に面する場合には、一般的に、接する距離が長いほうの道路を指す。
なお、道路幅員によって定まる容積率の最高限度(道路幅員制限)を算定する場合に、敷地が複数の道路に面するときは、幅員が最大の前面道路の幅員を用いる幅員の狭い道路に面した敷地は上記最高限度が厳しくなる。
た行
耐火構造
建築基準において、壁、柱、床その他の主要な構造部材が、耐火性能に適合する建築物の構造をいう。 この場合の耐火性能とは、火災時、その火災による建築物の倒壊や延焼を防止するために建築物の部分に必要とされる性能のこと。その技術的な基準としては、各構造部分の種類や建物の階数に応じて定められる一定時間(おおむね1~3時間)の間、火熱を加えても、各構造部分が構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであることなどの要件が定められている。 例えば、鉄筋コンクリート構造やれんが造は、耐火構造である。
滞納債務
マンションを買い受けた場合、買受けまでの管理費や修繕積立金などの滞納債務は、買受人が支払う必要があります。滞納債務は、物件明細書や評価書等に記載された額から、買受けまでに更に増加していることがあります。
宅地建物取引士
宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。
宅地建物取引士は、一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務参照)。
宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができる。
1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印
宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。
1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
2)都道府県知事に登録すること
宅地建物取引に関して2年以上の実務経験又は「登録実務講習」を受講すること。
また、登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要。
3)宅地建物取引士証の交付を受けること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる。
宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。
建売住宅
敷地と一緒に販売される住宅をいう。
類似の用語として「売建住宅」があるが、建売住宅の建築主は不動産業者であるのに対して、売建住宅の建築主は宅地購入者である。
代金納付
買受人が入札申出額から保証金額を控除した残代金額を裁判所に納めることです。この納付によって、不動産の所有権が買受人に移転します。期限までに代金を納付しないと買い受ける権利を失い、買受申出のために提出された保証金も返還されません。代金が納付されると裁判所書記官は、登記所に所有権移転登記を嘱託します。なお、買受人は、買受代金のほかに所有権移転登記の登録免許税、切手代、引渡命令の申立費用、滞納債務、必要費・有益費、引渡命令の執行や残置物処分のための費用などを負担することになります。
代金納付期限通知
売却許可決定が確定すると、買受人は、裁判所書記官が定める納付期限までに、執行裁判所に対し代金を納付すべき義務が生じます。裁判所書記官は、特別の理由がない限り、売却許可決定確定日から1か月以内の日を定めます。代金納付期限が指定されたときは、その旨を通知するため「代金納付期限通知書」等を特別送達郵便で発送しますので、買受人は速やかに受領してください。
代金の納付手続
最高価買受申出人等に売却を許可する執行裁判所の決定が確定すると、裁判所書記官は、特別の理由がない限り、確定の日から1か月以内の適当な日を代金の納付期限と定め、買受人に通知をします。買受人は、定められた期限までに、最寄りの金融機関から裁判所の預金口座に金銭を振り込んで金融機関の領収印のある保管金受入手続添付書を受け取り、それを裁判所に持参する方法、現金を裁判所に持参する方法、裁判所が指定した日本銀行の支店等に現金を納めて保管金領収証書を受け取り、それを裁判所に持参する方法のいずれかにより代金を納付しなければなりません。買受人が代金を納付しないと、不動産を買い受ける資格を失い、提供していた保証の返還も受けられないことになります。そのため、入札をしようとするときは、入札後短期間のうちに代金全額を納付することができるように、取引のある金融機関等と相談するなどしてあらかじめ資金の準備をしておく必要があります。代金が納付されると、不動産は買受人の所有となります。
地目
登記所の登記官が決定した土地の主な用途のこと。
土地登記簿の最初の部分(表題部という)には、土地の所在、地番、地目、地積(土地面積)が記載されている。
地目は、現況と利用状況によって決められることになっており、次の23種類に限定されている。
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
仲介
不動産取引における宅地建物取引業者の立場(態様)の一つ。
「媒介」と同意。
賃借権
賃貸借契約によって得られる借主の権利をいう。
借主は契約の範囲で目的物を使用し収益できる一方、貸主に賃料を支払わなければならない。民法上、債権とされる。
賃借権は債権であるので、
1.登記しなければ第三者に対抗できない(賃貸人に登記義務はなく、登記がなければ対抗要件を欠くので、例えば目的物が譲渡されると新たな所有者は賃借権に拘束されない)
2.賃貸人の承諾なしに賃借権の譲渡・転貸ができない(承諾なしに第三者に使用・収益させたときには賃貸人は契約を解除できる)
など、物権に比べて法的な効力は弱い
ツーバイフォー工法(2×4工法)
北米で生まれた木造建築の工法。正式名称は「枠組壁工法」。
断面が2インチ×4インチの木材を使用することから、このような名称が付けられた。
このツーバイフォー工法の最大の特徴は、木材で組んだ「枠組」に構造用合板を打ち付けることで、構造壁で構造全体の強度を得ることである。
複雑な木組みがないため、熟練した職人でなくても建てられる。従来工法に比べやや間取りの自由度が落ちる。
定期建物賃貸借
契約の更新がないことを特約とした建物の賃貸借をいう。
「定期借家」ともいう。
通常の建物賃貸借契約は、賃貸者側からは更新拒絶や解約に際して正当事由が必要とされ、賃貸借関係が長期化しやすい。そこで、借家の供給を容易にするなどのため、2000(平成12)年3月から、賃貸借期間を定めその後期間の更新をしない旨の特約をすることが認められた。この契約による賃貸借が、定期建物賃貸借(定期借家)である。
定期建物賃貸借契約を締結するには、貸主はあらかじめその旨を書面で借主に説明しなければならず、契約は公正証書による等書面でしなければならない。また、契約期間の終了に当たっては、期間満了の1年前から6月前までの間に賃借人に対し契約が終了する旨の通知をしなければならないとされている(その後の通知については、通知後6月の経過で契約を終了できる)。
停止条件付き契約
将来に一定の事実が発生したときに初めて法律的な効力が生じる契約。停止条件付き売買契約によって取引されたものであってまだ条件を満たしていないものがこれに該当する。
停止条件付き宅地の具体例は、たとえば、一定期間内にその土地に建物を建築することを条件とする売買契約の目的物(建築条件付き)、住宅ローンの融資について金融機関の承認を得ることを条件とする売買契約の目的物(ローン条件付き建物)、地主の承諾を条件とする借地権売買契約の建物である。
停止条件付き宅地の売買契約は、条件とされている事実が発生するまでは、代金支払い義務などの法的な効力は生じない。また、条件が発生しなかった場合は、契約は無効となる。
抵当権
債権を保全するために、債務者(または物上保証人)が、その所有する不動産に設定する担保権のこと。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が質権と異なっている。 債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
手付金等
売買契約の締結から宅地建物の引渡し前の間に支払われる手付金などの金銭で、最終的に代金の一部になる金銭のこと(宅地建物取引業法第41条第1項)。
宅地建物取引業法(第41条・第41条の2)では、この手付金等を、第三者が保管するなどの方法で保全するように定めている。これは、売主が物件を引き渡せないなどの不測の事態が生じた場合に、手付金等が確実に買主に返還されるようにする目的で創設された制度である。
実際の不動産取引では、次の金銭が「手付金等」に含まれるかどうかが問題になる。
1.手付金:手付金は契約締結時に交付され、通常は物件引渡し時点までに(例えば残金支払いと同時に)手付金は売買代金の一部になる。従って、手付金は「手付金等」に該当する。
2.内金:内金は通常は物件引渡し前に交付される「代金の一部」のことであるので、「手付金等」に該当する。なお、内金という名称で実際は「手付金」の場合もまれにあるが、これは上記1.の理由によりやはり「手付金等」である。
3.中間金:中間金は物件引渡し前に交付される「代金の一部」のことであるので、「手付金等」に該当する。
4.残金:売買代金から、手付金、内金、中間金を差し引いた残りのことである。残金は、通常は宅地建物の登記名義の移転手続き(このとき物件の鍵も交付する)と同時に支払われる。従って、残金支払いの時点で物件が引き渡されるのが通常であるから、残金は「手付金等」に含まれないということができる。
5.申込証拠金:申込み証拠金は契約より前に買主が売主に交付する少額の金銭(通常は10万円以下)で、その目的は申込み意思の確認や、申込みの順番を確保するものである。申込み証拠金は直接的に代金の一部になるものではない。従って、申込み証拠金は「手付金等」に含まれないということができる(ただし、申込証拠金は契約と同時に「手付金」の一部になることが多い。すると、契約時点以降は上記1.の手付金に含まれることになる)。
登記済証
不動産登記事務が電子化される以前は、権利登記において、登記手続きの完了後に、登記をした者(登記名義人)に対して、登記申請書の写し(副本)に登記官が「登記済」と押印したものが返還されていた。この登記名義人となった者に返還される押印された申請書副本が「登記済証」である。
登記済証は、登記名義人が所持し、その所持者が登記名義人であることを公的に証明する書面であることから、「権利証」とも呼ばれている。
しかし、不動産登記法が改正され(施行日は2005(平成17)年3月7日)、本人確認は登記識別情報によることとされたため、登記済証の発行制度は廃止された。内容を確認できる書類が発行される。
ただし、制度廃止後の初回の書面申請においては、申請人は未だ登記識別情報を保有していないため、その場合には登記済証の提出によって本人確認を行うこととされている
特別売却
特別売却とは、入札又は競り売りの方法以外の特別な売却方法であり、期間入札により売却を実施しても、適法な買受けの申出がなかった場合にのみ行う売却方法です。特別売却についても裁判所書記官の売却実施処分に基づいて執行官が行います。特別売却には、(1)条件付特別売却 期間入札の売却実施処分と同時に、期間入札において適法な買受けの申出がないときに特別売却を実施するという「条件付特別売却実施処分」に基づく売却方法 (2)上申による特別売却 条件付特別売却を実施しても買受けの申出がなかった場合で、差押債権者から特別売却の実施を要請する旨の上申書が提出され、裁判所書記官が相当と認めたときに実施するという「特別売却実施処分」に基づく売却方法がありますが、いずれも特別売却期間中に一番先に買受けを申し出た人に買受けの権利が与えられます。同一物件について、買受けの申出が同時に複数されたときは、くじ等により買受申出人を定めます。特別売却物件の買受申出も、執行官室で受け付けています。
都市計画
都市計画は都道府県または市町村が定める。
土地利用、都市施設の整備、市街地開発事業に関する計画であって、都市計画の決定手続きにより定められた計画のこと(都市計画法第4条第1号)。
具体的には都市計画とは次の1.から11.のことである。
1.都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(都市計画法第6条の2)
2.都市再開発方針等(同法第7条の2)
3.区域区分(同法第7条)
4.地域地区(同法第8条)
5.促進区域(同法第10条の2)
6.遊休土地転換利用促進地区(同法第10条の3)
7.被災市街地復興推進地域(同法第10条の4)
8.都市施設(同法第11条)
9.市街地開発事業(同法第12条)
10.市街地開発事業等予定区域(同法第12条の2)
11.地区計画等(同法第12条の4)
注:
・上記1.から11.の都市計画は、都市計画区域で定めることとされている。ただし上記8.の都市施設については特に必要がある場合には、都市計画区域の外で定めることができる(同法第11条第1項)。
・上記4.の地域地区は「用途地域」「時別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」「特定街区」「防火地域」「準防火地域」「美観地区」「風致地区」「特定用途制限地域」「高層住居誘導地区」などの多様な地域・地区・街区の総称。
徒歩所要時間
不動産広告における距離の表示方法の一つで、一定の規則にもとづいて算出した主要施設から広告物件までの徒歩による所要時間をいう。
不動産の表示に関する公正競争規約では、実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示を禁止しており、徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分、1分未満は切り上げて算出する。また、信号待ちや坂道、歩道橋等による影響は考慮しない。
なお、主要施設としては、鉄道駅、最寄のバス停留所などを用いることが多い。
な行
内覧(競売物件)
執行官が、買受希望者を不動産に立ち入らせて見学させる制度です。内覧は、差押債権者の申立てがあった場合にのみ発令される内覧実施命令に基づき実行されるものです。内覧は、占有者が立入りを拒んだり、差押債権者の申立てが取り下げられたり、内覧実施命令が取り消された場合には、実施することはできません(その場合の交通費等の弁償をすることはできません。)。また、他の内覧参加者の行為等によって、円滑な実施が困難になり、途中で実施できなくなることもあります。
納戸
もともとは屋内に設けた衣類などを収納する部屋という意味であるが、不動産広告では採光のための窓がない(または窓が小さい)部屋のことを「納戸」と表示する。
建築基準法によれば、住宅の居室には、採光のための窓などを居室の床面積の7分の1以上の大きさで設けなければならない(建築基準法28条1項)ため、採光のための窓をとれない部屋は、建築基準法上の「居室」とできない。そこで、住宅の販売広告等ではこうした部屋を「納戸」と表示することにしているのである。
また最近は「サービスルーム」、さらにはその頭文字を取って「S」と表示されることも多い。
なお、不動産広告を規制する「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」では、建築基準法の採光等の規定をクリアしていないために「居室」とならない部屋は「納戸」等と表示するよう定めている。
入札の方法
買い受けたいと思う物件が見つかったら、執行官室で入札の受付をしていますので手続をしてください。入札をしようとする人は、執行官から入札書用紙と封筒を受け取り、これに必要事項を記入します。期間入札では、多数の不動産についての入札を同時に行うのが普通ですから、不動産を取り違えないよう注意してください。入札価格は、公告に記載された買受可能価額以上でなければなりません。 (2)入札の方法は、入札書を執行官に直接差し出す方法と、入札書を執行官にあてて郵送する方法とがあります。執行官に直接差し出す場合には、入札書を封筒に入れて封をし、その封筒に開札期日を記入した上で、入札期間内に差し出してください。郵送入札をする場合には、入札書を入れて封をし、開札期日を記入した封筒を、更に別の封筒に入れ、執行官にあてた郵便又は信書便で、入札期間内に届くように送付してください。入札期間を過ぎてから配達されたものは、無効となります。いったん提出した入札書は、訂正したり取り消したりすることができません。入札するときには買受申出の保証金を提供することが必要です。保証の額は通常は売却基準価額の20パーセントですが、それ以上のこともありますので、公告により必ず確認してください。 (3)入札期間経過後、公開の開札期日に裁判所内の開札場で開札が行われ、最も高い金額で入札した人(「最高価買受申出人」といいます。)が買い受ける権利を取得します。それ以外の人のうち、次順位買受申出をした者を除く入札人の保証金は返還されます。
根抵当権
継続的取引などによって生じる不特定の債権について、定めた限度額を限度として担保する抵当権をいう。担保する債権が特定されないことに特徴がある。民法の規定に基づく権利である。
根抵当権を設定するには、限度額の他、担保する債権の範囲及び債務者を定めなければならない。
通常の抵当権と違って、個々の債権に対する附従性(主たる権利と運命を共にする性質)や随伴性(主たる権利の移転に従って移転する性質)がない。ただし、根抵当権が担保すべき元本が生じない状態になったとき(根抵当権の確定時)以降は、通常の抵当権と同様に附従性や随伴性を帯びることとなる。
なお、根抵当権は、根抵当権設定者の承諾を得れば、譲渡、分割、一部譲渡(共有化)することができる。この場合、譲渡された根抵当権は、譲渡人の債権ではなく、譲受人の債権をその担保すべき債権の範囲で担保することとなる。
農地法
農地の権利移動や転用の制限、利用関係の調整、遊休農地に関する措置などを定めた法律。1952(昭和27)年に制定された。
耕作者の地位の安定と農業生産の増大を図り、食料の安定供給の確保に資することを目的としている。
2009(平成21)年の法改正によって、農地の賃貸借に関して大幅に制限が緩和され、農業生産法人だけでなく、一般の法人、NPO等が、農地を借りて営農できるようになった。
一方、農地について所有権、賃借権等を有する者は、その適正で効率的な利用を確保する責務を負う旨の規定も追加された。
農地(競売)
農地地域のうちにある耕作の用に供されている土地のことです。農地法上の「農地」は転用・移転等が制限(許可又は届出等)されており、買受人の適格性等の制限を受けるため注意してください。
延床面積
建築物の各階の「床面積」の合計のこと。
容積率の算出には、次の部分の床面積は延べ面積から「除外」できる扱いとなっているので、注意する必要がある。
1.自動車車庫・自転車置場に供する部分の床面積(床面積の合計の5分の1まで)
2.建築物の地階(その天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものに限る)の住宅の用途に供する部分の床面積(住宅の用途に供する床面積の合計の3分の1まで)
3.共同住宅については、共同住宅の共用廊下・共用階段・エントランスの部分の床面積(限度なし)など
は行
媒介
私法上の概念で、他人間の契約等法律行為の成立に向けて行う事実行為をいう。代理や取次と違って、法律行為ではないとされる。
不動産取引における宅地建物取引業者の立場(取引態様)の一つでもあり、不動産の売買・交換・賃貸借について、売主と買主(または貸主と借主)との間に立って取引成立に向けてなす活動のこと。
「仲介」と同じ意味。
売却基準価格
売却基準価額は、従来の最低売却価額に相当するもので、評価人の評価に基づいて定められた競売不動産の価額です。売却基準価額が適正であるためには、評価が適正でなければなりません。そこで、裁判所は、評価書を、現況調査報告書、不動産登記簿謄本等とともに審査し、評価の前提とした目的不動産に関する事実関係及び権利関係が的確に把握されているか、並びに評価の方法及び計算過程が適正であるかを検討したうえで売却基準価額を定めることになります。
売却許可決定
最高価買受申出人が決まると、「売却決定期日」(あらかじめ公告されています。)が開かれ、最高価買受申出人に不動産を売却するか否かを、執行裁判所が決定します。最高価買受申出人が不動産を買い受ける資格を有しない場合など、一定の場合には、売却が許可されないこともありますが、普通の場合には売却が許可され、最高価買受申出人は買受人となります。
売却許可決定の確定
債権者、債務者及び所有者等の利害関係人は、売却許可決定に対する不服申立方法として執行抗告をすることができますので、公告の掲示日の翌日から起算して1週間以内に執行抗告の申立てがされない場合に売却許可決定が確定することになります。売却許可決定が確定した時点で買受申出人は、目的不動産の「買受人」としての代金納付義務が発生します。買受人の事情により目的不動産の取得を取りやめる場合は、入札時に差し入れた保証(入札保証金)を放棄することにより、代金納付義務を免れることができます。最高価買受申出人又は買受人たる地位(権利)の譲渡は、相続等の一般承継の場合を除き、認められません。
売却決定期日
売却決定期日とは、執行裁判所が最高価買受申出人(又は買受申出人)に対し、不動産の売却を許可するか否かを審査し、その結果について決定という裁判を行う期日です。裁判所書記官は、通常は、売却決定期日を開札期日から1週間以内の日に指定します。執行裁判所は、売却決定期日において最高価買受申出人等の買受けの申出に対する許否を明らかにするため、これまでに実施された一連の手続が適正に行われたか否かについて職権で調査を行い、民事執行法71条に定める売却不許可事由に該当する場合を除き、通常は売却許可決定という裁判を行います。売却許可決定が言い渡されたときは、その内容を裁判所の掲示場に公告します。買受人が配当を受けられるべき債権者である場合は、売却代金から買受人が配当等を受けるべき額を差し引いた残額だけを配当期日等に納付することも認められています。差引納付の申出は売却許可決定が確定するまでに申し出なければなりません。
バリアフリー
高齢者や身体障害者など、体の不自由な人々の行動を妨げる物的・心理的障害を取り除くという意味。
バリアフリーデザインはその障害となる物を除去し、生活しやすいよう設計されたものである。段差をできる限りつくらずにスロープ等を用いることも一つの手法。
公共施設では採用が義務化されているが、住宅では構造的にままならないことも多い。そこから発展して近年ではユニバーサルデザイン(誰でも使いやすい)が採用されることも多い。
引渡命令
引渡命令とは、買受人が代金納付を済ませた後、建物から簡易な手続(通常の裁判と比較して)で占有者を退去させる命令のことです。代金を納付した買受人又はその一般承継人から、引渡命令の申立てがなされると、執行裁判所は、発令要件を備えていると認めた場合、競売不動産を引き渡すべき旨の決定をします。なお、占有者が自発的に退去しない場合は、引渡命令に基づいて退去させるための強制執行が必要です。その場合には、退去執行のため別途費用がかかります。
評価証
執行裁判所の選任した評価人(原則として、不動産鑑定士を選任しています。)が、その物件の価格評価とその算出過程などについて記載した書類です。評価書には、不動産の評価額、周囲の環境の概要等が記載されており、不動産の図面等が添付されています。これらを見れば、算出された評価額の理由、不動産の現況と、それをめぐる公法上の規制等法律関係のあらましが分かるようになっています。
表示登記
土地・建物に関する物理的状況を表示した登記のこと。
一筆の土地または一個の建物ごとに作成される登記記録のうち、表題部に記載される。
表示登記に記載される事項は、土地の登記記録については「所在の市区郡町村および字」「地番」「地目」「地積」「表題部所有者」等。
また、建物の登記記録については「所在の市区郡町村および字」「建物所在の地番」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「付属建物」「表題部所有者」等。
区分建物(分譲マンションなど)については、一棟の建物全体についての表題部と個々の区分所有者についてのものと、両方の表題部が存在する(詳細は「区分建物の登記記録」参照)。
表題登記
一筆の土地または一個の建物に関して、最初になされる表示登記のこと。(不動産登記法大2条第2号)
新たに土地が生じた場合(造成・分筆など)申請しなければならない。
新築された建物などの場合、登記記録そのものが存在していないので、登記記録そのものを新規に作成する手続きが必要になる。
この場合、新規に登記記録を作成するには手順として、まず表題部を作成する必要があり、このような登記を「表題登記」と呼んでいる。
表題登記は1ヵ月以内に申請しなければならない。1ヵ月以内に申請しない場合は過料に処せられる(ただし、1ヵ月経過後も表題登記の申請はでき、申請義務がある)。
なお「表題登記」という用語は、従来は使用されていなかったが、不動産登記法の全面改正(2005(平成17)年3月7日施行)により新たに導入されたもの。
複層ガラス
ペアガラスともいう。
遮音性・断熱性を高めるため、ガラスを二重にしたサッシのこと。空気が間に入ることで結露を防ぐ性能も持つ。
袋地
ある土地が他の土地に囲まれているために、公道に出るには他の土地を必ず通行しなければならない場合には、この囲まれている土地のことを「袋地」という。
この場合、他人の土地を通行でき、償金を支払う必要がないことが民法で規定されている。
不動産鑑定評価基準
不動産鑑定士が不動産を評価鑑定するときに常に準拠すべき規範。国土交通省が制定している。1964年に初めて制定された。現行の評価基準は、2002年に全部改正されたもので、その後も一部改正が加えられている。
不動産鑑定評価基準は、評価の実質的かつ統一的な規範とされており、これに準拠しない鑑定は不適切である。また、準拠しない鑑定を行なった不動産鑑定士は、懲戒処分に処せられることがある。
不動産鑑定評価全般にわたる実務指針である「総論」と不動産の種別及び類型に応じた評価手法等の具体的な指針である「各論」で構成されている。
総論では、例えば、不動産の鑑定評価とは「現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格」を的確に把握する作業であるとし、その作業の手順を次のように示している。
(1)鑑定評価の対象となる不動産を的確に認識する
(2)必要とする関連資料を十分に収集・整理する
(3)不動産の価格を形成する要因及び不動産の価格に関する諸原則について十分に理解する
(4)鑑定評価の手法を駆使する
(5)収集・整理した関連諸資料を具体的に分析し、対象不動産に及ぼす自然的、社会的、経済的及び行政的な要因の影響を判断する
(6)対象不動産の経済価値に関する最終判断に到達し、これを貨幣額をもって表示する
また各論では、価格、賃料、証券化対照不動産の価格に分けて、それぞれの評価手法を示している。
不動産競売
地方裁判所では、債務を弁済することができなくなった人の所有する不動産等を差し押さえて、これを売却し、その代金を債務の弁済にあてる手続を取り扱っています。これが不動産の競売です。不動産の買受けについて更に詳しいことを知りたい方は、最寄りの地方裁判所か、その支部の競売係にお問い合せください。
不動産取得税
不動産を有償または無償で取得した場合や改築等により不動産の価値を高めた場合に、その取得者等に課税される地方税のことである。
不動産の所在地の都道府県が課税の主体となるので、実際の徴収事務は都道府県が行なうこととされている。
不動産取得税の税率は原則的に「不動産の固定資産税評価額の4%」とされている。
ただし「住宅の建物部分」に係る不動産取得税については「建物部分の固定資産税評価額の3%」とされている(地方税法附則第11条の2)。
ちなみにここでいう「住宅」には別荘を含まない。ただし、週末を過ごすため郊外に購入した2つめの住宅や、勤務地の近くに購入した2つ目の住宅といったいわゆる「セカンドハウス」はここでいう「住宅」に含まれる。
なお、一定の要件を満たす「住宅の建物部分」や一定の要件を満たす「住宅用土地」については、不動産取得税の税額そのものの大幅な軽減措置が設けられている。
不動産取得税は原則的には、不動産を取得した者に対して、不動産の取得日に課税される(地方税法第73条の2第1項)。
ただし、新築によって建物を取得した場合には「最初に使用された日」または「譲渡された日」が「取得の日」とみなされて、その日における所有者が納税義務を負うケースがある(地方税法第73条の2第2項)。具体的には次の通りである。
1.「最初に使用された日」が「取得の日」となるケース
賃貸業を行なう個人が、建築業者に賃貸建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初に借家人が使用した日が「取得の日」となる。
また、一般の個人が建築業者に自己の居住用の建物を新築させた場合には、新築の日ではなく、最初にその個人が入居した日が「取得の日」となる。
2.「譲渡された日」が「取得の日」となるケース
建売分譲業を行なう会社が、建築業者に建売住宅を新築させた場合には、新築の日ではなく、建売住宅が販売された日に課税される。このとき納税義務者は建売住宅の購入者となる。
なお、上記1.2.の場合において、新築の日から6ヵ月を経過しても、最初の使用や譲渡が発生しない場合には、その6ヵ月を経過した日が「取得の日」とみなされる。
不動産に関する情報(競売物件)
競売物件で買いたいと思う不動産が見つかったら、その不動産についてよく調査してください。そのために裁判所では、物件明細書、現況調査報告書及び評価書という三点セットの写しを、入札期間が始まる日の1週間前までに備え置き、だれでも見ることができるようにしてあります。これらを見れば、不動産の現況とそれをめぐる法律関係のあらましが分かるようになっています。これらの資料は981.jp、及び981.jpからリンクされている最高裁事務総局(BIT)でも見ることができます。なお、これらの書類はあくまでも参考資料であることを心得ておいてください。大きな買物をするのですから、買受申出をしようとする場合は、現地に行って自分の目で物件をよく見るほか、登記所などへも行って権利関係を確かめるなど、必ず、自ら調査、確認することが大切です。調査、確認が困難な場合や、権利関係が複雑な場合などは、弁護士などの専門家に相談されるとよいでしょう。
不動産の調査(競売物件)
買いたいと思う不動産が見つかったら、その不動産についてよく調査してください。そのために裁判所では、物件明細書、現況調査報告書、評価書という3つの書類の写しを入札期間が始まる日の1週間前までに備え置き、だれでも見ることができるようにしてあります。物件明細書には、その不動産を買い受けたときに、買い受けた人がそのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地か建物だけを買い受けたときに建物のために地上権が成立するかどうかなどが記載されています。
不動産の引渡し(競売物件)
所有権を取得した買受人は、不動産を占有している者に対して、引渡しを求めることができます。従前の所有者が任意に引き渡さないときなど、一定の場合には、代金を納付した日から6か月以内(買受けの時に民法395条1項に規定する建物使用者が占有していた建物の買受人にあっては9か月以内)に申し立てることによって、引渡命令という裁判をしてもらえます。この裁判がされると、執行官に申し立てて、従前の所有者等を強制的に立ち退かせることができます。ただし、引き続いて居住する権利を有する人が住んでいる場合など自ら引き継がなければならない賃借権がある場合などには、すぐに引き渡してもらうことはできません。
物件明細書
物件明細書は、民事執行法62条・民事執行規則31条により、買受人が引き受けることとなる権利関係など競売物件に関する一定の情報を記載して備え置くこととされているものです。物件明細書には、その不動産を買い受けたときに、買い受けた人がそのまま引き継がなければならない賃借権などの権利があるかどうか、土地か建物だけを買い受けたときに建物のために地上権が成立するかどうか、その他参考となる事項が記載されています。物件明細書は、裁判所書記官が記録上表れている事実等とそれに基づく認識を記載したものにすぎず、当事者の権利関係を確定するものではなく、権利関係に関する裁判を拘束するものでもありません。したがって、新たな事実の発生・発覚等によって権利関係が変わることもあり、また、物件の状態が変わることもあり得ます。そのため、入札を検討される場合には、必ず、御自身でも直接現地を見に行くなど十分な調査・確認を行うようにしてください
分筆登記
一筆の土地を分割して数個の土地にするという登記のこと。
プロパティマネジメント
委託を受けて不動産の管理・運用を行なう業務をいうが、特に収益性の確保・向上をめざした業務をさすことが多い。
その業務は、大きく、運用計画の立案、賃料の設定、テナントの募集・契約などの運用業務と、不動産や設備の維持・保全、予算・収支の管理などの管理業務に分けられるが、両者を総合化して、当該不動産から得られる収益を最適化することが最も重要であるとされる。不動産の証券化などにおいて、その能力が問われる業務でもある。
変動金利型
住宅ローンのうちで、借入れ期間中に借入れ金利が変動するものをいう。
変動する場合の金利は、長期プライムレート等に一定率を上乗せしたもの(住宅ローンプライムレート)を基準として決定され、原則として年2回見直しされる。返済金額は金利が変動するごとに変わるが、返済金額の増減を一定期間反映させない(つまりその期間中は返済金額が一定である)という方法が取られることもある。
変動金利型に対して、借入れ期間の金利が固定されている住宅ローンもあり、これを「固定金利型」という。一定の条件の下で、固定金利と変動金利を選択できる「固定金利選択型住宅ローン」もある。
法定地上権
土地と建物を別々の人が所有することとなったときには、土地については地上権の負担を伴うものとなり、建物については、敷地に対して一定の範囲内で地上権を取得できることがあります。これを法定地上権といいます。
保証金(賃貸)
建物の賃貸借契約時に、借主が貸主に支払う一時的な金銭。その法的な意味は一様ではないので、内容を十分に確認する必要がある。
保証金には、敷金と同じように借主に対する賃料債務等を担保するものであって債務がなければ退去時に返還されるものと、権利金、礼金と同じように一時的な対価として支払われ退去時に返還されないものとがある。
また、保証金の一部として「敷引」が定められている場合には、礼金と同じようにその金額は返還されない。
なお、敷金によって担保される債務には、退去時の原状回復義務が含まれるが、その対象となる損傷は、通常の使用による損耗や経年劣化を除くとされ、これらの回復は賃借人の義務ではない。
近年までこの義務内容が貸主側に有利に設定されていたため、揉めるケースがあるので注意。
保証の提供(競売物件)
入札をするときは、同時に保証を提供しなければなりません。その額は、通常は不動産の売却基準価額の20パーセントですが、それ以上のこともあります。保証の額も公告に記載されています。保証の提供は、次のいずれかの方法でしなければなりません。第1は、入札する前に、裁判所の預金口座に、最寄りの金融機関から保証の額に相当する金銭を振り込み、金融機関の領収印のある保管金受入手続添付書(振込依頼書の第2片)を入札保証金振込証明書の用紙に貼ってこれを入札書と共に提出する方法です。この場合、振り込まれた金銭が入札期間中に裁判所の預金口座に入金済みにならないと入札は無効ですから、なるべく「電信扱い」として早めに振り込んでください。入札保証金振込証明書と振込依頼書(3連複写式)の用紙は、入札書用紙と共に執行官室に備え置かれています。第2は、銀行、損害保険会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫、全国を地区とする信用金庫連合会、信用金庫又は労働金庫と支払保証委託契約を締結して、その証明書を提出する方法です。この方法は銀行等が支払保証委託契約の締結に応じてくれることが前提となりますから、まず銀行等と相談してください。
ま行
間口
土地と道路が接する長さのこと。
最低2mないと住宅(一戸建)は建てられない。
無指定
都市計画区域の外側にある土地のことを「無指定」や「無指定区域」などと呼ぶことがあるが、これはあくまで通称である。
また、「非線引きの都市計画区域(非線引き区域)」では、中心部には「用途地域」が指定されているが、中心部以外には「用途地域」が指定されていないことが多い。
そこで、「非線引きの都市計画区域」で「用途地域」がない土地のことを「無指定」と呼ぶこともある。
モジュール
建築生産における規格化・標準化を図るための基準寸法のこと。または、構成材のサイズを定めるために、ある法則で秩序立てられた寸法組織のこと。
一般的には尺である91cmを基本寸法とするが、コンクリート系の建物では1mを基本寸法とするメーターモジュールが採用されるケースが増えてきている。
建築材料は91cm基準になっているものがまだ多く、端数が出ることに注意が必要。
や行
家賃保証会社
賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。
家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。
契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。
家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。
家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。
床面積
建築物の各階において、壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の面積をいう(建築基準法施行令2条1項3号)。
なお具体的な床面積の判定の方法については、建設省(現国土交通省)が、通達(昭和61年4月30日付建設省住指発第115号)によって詳しい基準を設けている。
建築基準法と実際の施工面積には差が生じる。
ユーティリティー
住宅の家事作業の中心となる室やコーナーのこと。
家事作業をするために必要な設備が集中的に設けられ、作業台なども整備される。台所・洗面室の近くに設置されることが多い。
容積率
延べ面積を敷地面積で割った値のこと。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の延べ面積が90平方メートルならば、この住宅の容積率は90%ということになる。
建物の容積率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さらに、前面道路の幅が狭い等の場合には、道路からの高さ制限により指定された容積率を使い切ることができないケースもあるので、注意が必要である。
用途地域
建築できる建物の用途等を定めた地域。都市計画法に基づく制度である。
用途地域は、地域における住居の環境の保護または業務の利便の増進を図るために、市街地の類型に応じて建築を規制するべく指定する地域で、次の13の種類があり、種類ごとに建築できる建物の用途、容積率、建ぺい率などの建築規制が定められている。
・住居系用途地域:「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「田園住居地域」
・商業系用途地域:「近隣商業地域」「商業地域」
・工業系用途地域:「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」
用途地域の指定状況は、市区町村が作成する都市計画図に地域の種類ごとに異なった色を用いて表示され、容易に確認できるようになっている。
なお、用途地域は、局地的・相隣的な土地利用の調整の観点にとどまらず、都市全体にわたる都市機能の配置及び密度構成の観点から検討し、積極的に望ましい市街地の形成を誘導するため、都市計画区域マスタープランまたは市町村マスタープランに示される地域ごとの市街地の将来像にあった内容とすべきであるとされている(都市計画運用指針、国土交通省)。
ら行
ラーメン構造
柱・梁という部材同士が剛接合され、水平方向の外力などに対抗できる強い骨組を形成しているような建築構造のことを、建築学では「ラーメン構造」と呼んでいる。「ラーメン」とは「枠」という意味である。
「剛接合」とは、部材の接合部が完全に固定されており、水平方向の力がかかっても接合部が回転・変形しないということを指している。
こうした建築学上の「ラーメン構造」は具体的には次のようなものである
1.鉄筋コンクリート構造
通常の鉄筋コンクリート構造は、壁が外力に対抗する役割を担っており、「ラーメン構造」ではない(「壁構造」である)。
これに対して、鉄筋にコンクリートを巻くことにより、鉄筋コンクリート製の柱・梁を形成する場合がある。この場合には、その柱・梁が強固な骨組となるので、「ラーメン構造」となる。
2.鉄骨鉄筋コンクリート構造
「鉄骨の柱」と「鉄骨の梁」が溶接とボルトで強固に接合されることで鉄骨骨組そのものが非常に頑強な「ラーメン構造」となっている。普通、「ラーメン構造」という言葉を使用するときはこの鉄骨鉄筋コンクリート構造を指すことが多い。
3.重量鉄骨構造
3階建て共同住宅などで多用されるこの重量鉄骨構造では、「鉄骨の柱」と「鉄骨の梁」がボルト接合されることで頑強な骨組の「ラーメン構造」となっている。
リノベーション
新築を除く住宅の増築、改装・改修、模様替え、設備の取替えや新設などの改造工事を総称してリノベーションという。
リフォーム、リモデルなども同義。
既存建物の耐震補強工事もリノベーションの一種である。
リビング
居間。英語のliving room。和風家屋の「茶の間」もリビングである。
個室ではなく、日常生活でのくつろぎのためなどに家族共同で使われる。「○LDK」などと表示する場合の「L」である。
林地
木の生育の用に供されている(山林である)土地のことです。
隣地斜線制限
隣地高さ制限のこと。
「建物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの距離が長いほど高くすることができる」という規制である。
隣地高さ制限が適用されるのは、第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域を除く10種類の用途地域である(第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域には、隣地高さ制限が適用されない代わりに、絶対高さの制限が適用される)。
隣地高さ制限は、建築基準法56条と同法別表第3で詳しく規定されている。
ただし、隣地高さ制限による高さの限度は、最も厳しい場合でも20mとされている。従って、一般住宅や低層・中層の共同住宅を建築する場合には、隣地高さ制限は実質的に関係がないものと考えてよい。
ルーフバルコニー
屋上を利用したバルコニーのこと。
マンションでは、下の階の住戸の屋上部分を、上の階の居住者のためのバルコニーとしているもの。
通常のバルコニーと比べて広い空間を確保することができる。
木造住宅では水じまいが悪くなるためあまり利用されない。
ルームシェア
他人同士が一つの住宅で生活する住み方。個室は専用であるが、台所・食堂・浴室・便所などは共用することが一般的である。英語のRoom share。
ルームシェアは、良質な住宅ストックの有効利用、居住コストの最適化、幅広く柔軟な社会関係の選択などの要求に応えることができるほか、シェアリングエコノミーの発達を背景にしたライフスタイルでもある。
近年増えている形態だが、管理人が常駐していない場合はお互いのプライバシーに注意が必要。
礼金
建物の賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、契約締結の謝礼として支払われる金銭。将来契約が終了し、退去する際にも、借主に返還されない。
連帯保証人
保証人(債務者が債務を履行しない場合に、その債務を債務者に代わって履行する義務を負う人)のうち、債務者とまったく同じ義務を負う保証人。
通常の保証人には、催告の抗弁権(債務の履行を請求されたときに、まず主たる債務者に催告をなすべき旨を請求する権利)および検索の抗弁権(債務者の財産について執行するまで自己の保証債務の履行を拒むことができる権利)が認められるが、連帯保証人にはこれらの権利がない。つまり、債権者はいきなり連帯保証人の財産対して執行することができる。一般的に、銀行融資や消費者金融からの融資の際に求められる保証人は連帯保証人である。
路線価
宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(公衆が通行する道路のこと)について、その路線に面する宅地の1平方メートル当たりの価額を1,000円単位で表示したものを「路線価」という。
宅地の価格水準が基本的にはその宅地が面する道路によって決定されるという発想にもとづいて、宅地の価格水準を道路ごとに表示したものと考えることができる。
公的な土地評価では、相続財産評価および固定資産税評価でこの路線価が使用されている。
相続財産評価では市街地の宅地については路線ごとに「路線価」を定め、この路線価を基準として各種の補正率を適用し、宅地の財産評価を行なう。
この相続財産評価の路線価は、地価公示価格・売買実例価額・鑑定評価額・精通者意見価格などを参考として各国税局の局長が評定する。評定の基礎となる「標準宅地」としては全国で約40万地点が定められている。
この相続財産評価の路線価は、毎年1月1日を評価時点として評定され、毎年8月上旬に一般に公開されている。
なお、相続財産評価の路線価は、1992(平成4)年以降は地価公示の8割程度となるように評定されている。
ローン制度
融資先の銀行等の金融機関と抵当権設定契約を締結することにより、金融機関のローンを利用することができます。ローンの利用については、融資先の金融機関にお問い合せください。
ローン特約
不動産の買主や住宅の新築などの建て主が、金融機関やローン会社からの融資を前提として、不動産を購入しようとしているとき、融資を受けることができなければ、不動産の購入自体ができなくなる可能性がある。
そのため実際の不動産取引では、あらかじめ予定していた融資が金融機関等によって承認されなかった場合には、買主は不動産を購入する契約を解除して、契約を白紙に戻すことができるという特約を盛り込むことがある。こうした特約を「ローン特約」と呼んでいる。
「ローン特約」は一定の場合に解除権を行使することを認める特約であるが、その特約の文言の解釈をめぐって紛争になることが少なくない。
「ローン特約」には次の事項を明記しておくのが望ましい。
1.解除権が発生するための具体的な条件
(どの金融機関からいくらの融資をいつまでに受けることを予定しているか。融資の承認が下りなかった場合に、他の金融機関等に融資を要請する義務を負うか等)
2.売買では買主が解除権を行使した際の、売主の義務
(売主の手付金・代金返還義務の内容)
3.売買では買主が解除権を行使した際の、買主の義務
(損害賠償義務が存在しないこと等)
わ行
分かれ
不動産業界で使われる用語の意味としては、不動産取引(主として売買)の媒介報酬を配分すること、あるいはそのルールをいう。
一つの取引に対する媒介報酬は、売り手と買い手が支払う報酬の総額であるが、複数の宅地建物取引業者が取引に関与した場合には、その配分を決めなければならない。配分についての決まったルールはないが、取引に当たっての貢献度に応じて配分されるのが通例である。
例えば、売り手・買い手が異なる業者に取引の媒介を依頼して成約すれば、一般的には、それぞれの依頼者が支払う報酬をそれぞれの業者がそのまま受け取るという「分かれ」となる。
ワンルーム
一部屋で構成する住戸又はその間取りをいう。居室(リビング)、浴室・トイレ、キッチンを備えている。意味上は和製英語。
「ワンルームマンション」は、ワンルームで構成された集合住宅又は住戸をさすが、その間取りは、一つの居室と水まわりスペースとが仕切られ、居室が独立しているタイプのものが多い。一方、「ワンルーム」のなかには、部屋に間仕切りがなく、キッチンスペースを含めて一部屋だけの住戸もある。
不動産の間取り表示において、キッチンスペースが仕切られている住居を「1K」、仕切られていないワンルームを「1R」と区別する場合がある。